個人再生委員
1 個人再生手続き
個人再生を申立てる場合、申立人の財産(資産、負債)状況、収入・支出の状況等を書類に記載し、必要に応じて裏付けとなる資料を添付します。
裁判所は、これらの情報を元に、債権者と調整を図ったうえで、再生計画を認可すべきか否か、および認可する場合には返済金額をいくらにするべきかを審査します。
このとき、申立人の資産や収入が複雑であったり、不明確であったりする場合もあります。
このような場合、正確な審査のためには調査が必要となります。
そこで、この調査を行う機関として、個人再生委員という制度が設けられています。
裁判所は、一定の基準に従って個人再生委員を選任します(個人再生委員を選任する基準は裁判所ごとに異なります)。
個人再生委員が選任された場合には、個人再生委員に対する報酬の負担も必要となりますので注意が必要です。
2 個人再生委員の役割と、選任後の手続きの流れ
個人再生委員は次の役割を担っています。
- ①債務者の財産および収入の状況の調査
- ②関係者間で争いのある再生債権の評価に関する裁判所の補助
- ③債務者が適正な再生計画案を作成するために必要な勧告
個人再生委員選任後の手続きの流れは次の通りです。
⑴ 申立人との面談
申立人が個人再生を申立てるに至った経緯(債務が膨れ上がった経緯、返済が困難になった理由)や、今後の返済の見込みなど、個人再生手続を開始するか否かの判断をする上で必要な事情を理解するために行われます。
弁護士が代理人に就いている場合、弁護士も同席することができます。
申立人に代わり、個人再生委員に対して正確な情報の提供や補足説明を行うことができます。
⑵ 裁判所への意見書の提出
申立人との面談を終え、必要な情報の収集がなされたら、個人再生委員は裁判所に対して、個人再生手続を開始すべきか否かの意見書を提出します。
これを踏まえて個人再生手続の開始決定がされた場合、個人再生委員は必要に応じ債務者の財産・収入を調査したり、債務の内容やその金額の精査を行ったりします。
⑶ 再生計画案の審査
申立人から再生計画案が提出されたら、申立人の財産・負債・収入・支出等の資料を元に、再生計画の妥当性を検討し、場合によっては釈明や修正等を求め、最終的に認可決定についての意見書を裁判所に提出します。
所有財産が多い場合の個人再生の注意点
1 清算価値保証の原則
個人再生は、一定の要件のもと、裁判所を通じて債務額を減額してもらい、減額後の債務を再生計画に従って返済するという手続です。
減額できる金額には限度があります。
一定の計算方法で求められる金額(基準債権総額)よりも、個人再生手続きを行っている債務者が所有する財産の総額(評価額)の方が大きい場合、当該評価額に相当する金銭を債権者に返済しなければなりません。
債務総額が400万円の債務者において、解約返戻金の評価額が150万円となる生命保険契約がある場合、返済額は、基準債権総額で計算すると100万円まで減額できることになりますが、150万円以上の財産を有しているので、返済金額も150万円以上となります。
2 評価の仕方が返済額に影響を及ぼす
上記の財産の総額については、評価方法によって金額が変わるため、それに対応して返済額も変動しうるので注意が必要です。
預貯金や有価証券等は評価額が決まっているため影響をおよぼしにくいです。
これに対し、不動産は、通常不動産査定の結果を参考に財産の額を計算することが多いものの、査定の仕方によって評価が大きく変わります。
その結果、想定以上の返済金額になってしまうおそれがあることを念頭に置く必要があります。
3 その他留意点
また、財産の総額を評価する際には、一般的にイメージしにくいものも財産に含めて計算します。
典型的なものとして、退職金が挙げられます。
現時点では退職する予定がなかったとしても、見込財産として、職務規定等を基準に計算した退職金の8分の1を財産の総額に含めるということがあります。
勤続年数が長かったり、退職金が高い企業に勤めていたりする場合、予想外に返済額が高くなる可能性があります。
個人再生の再申立て
- ⑴ 個人再生の概要
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借金を返済が難しくなってしまった場合、裁判所を通じた個人再生手続を利用して、債務の一部を減額したうえで、裁判所の決定に従い減額後の債務を原則3年(特別な事情がある場合等に5年まで延長できることもあります)の期間で分割返済とすることができることがあります。
具体的には、裁判所に対して個人再生の申立てを行い、裁判所が認可した再生計画に基づいて、各債権者に分割して返済を行うこととなります。
個人が利用する再生の手続として代表的なものは2つあり、小規模個人再生の手続と給与所得者等再生の手続ですが、小規模個人再生の方が多く使われています。
- ⑵ 小規模個人再生
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小規模個人再生は、最低弁済額基準と清算価値基準という2つの基準によって計算した債務額のうち、適切な方の債務額を、原則として3年間で分割して返済を行うという手続です。
通常であれば、債務額はかなり減額されます。
小規模個人再生の手続において重要なことは、再生計画について債権者の過半数かつ債権額2分の1以上の反対がないことが必要となります。
再生計画が認可された場合には、再生計画に基づいて各債権者に返済を行うこととなります。
- ⑶ 再生計画に従った返済ができなくなった場合
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返済が滞ってしまうと、債権者から再生計画の取消の申立がなされることがあります。
その結果、再生計画が認可される前の状態に戻り、個人再生手続きによって減額される前の債務を返済しなければならなくなる可能性があります。
もっとも、再生計画認可後に生じた事情によって、当初の再生計画に基づいて返済することができなくなることもあると思います。
このような場合には、小規模個人再生の再申立を行い、返済が可能な再生計画に切り替えることを試みることが考えられます。
他にも、民事再生法には、再生計画の延長、ハードシップ免責(病気等のやむを得ない事情で返済が困難となった場合の減額措置)等が規定されており、返済期間を延長してもらったり、一部を返済しなくても良いものとしたりすることも考えられます。
ただし、再生計画が認可された後に新たに債務が発生した場合、新たに発生した債務も再生計画に組み込む必要がありますので、小規模個人再生の再申立をするのが抜本的な解決手段ということになります。
このように、当初の再生計画での返済が困難になった場合には、再申立手続をとることにより、理論上は再生計画を切り替えることが認められています。
もっとも、一度裁判所で厳格な審査を通じて認められた再生計画を変更するわけですから、裁判所の審査は相当程度厳しくなります。
裁判所の審査が厳しくなる以上、一回目の申立ての時以上に、支払能力等について、厳格な書類を準備し説明することが要求されますので、再申立の手続を検討される場合は、弁護士にご相談いただいた方が良いと思います。
当サイトでは、柏周辺にお住まいで個人再生に関してお悩みの方に向けた情報を掲載しておりますので、ぜひご活用ください。
個人再生手続において返済額を定める流れ
1 まずは個人再生申立時点での債務額の調査を行う
個人再生手続においては、まず債権者に対して債権届を送付してもらうよう依頼し、再生債権の調査・確定手続を経ることで、個人再生申立時点での債務者の借金の額を定めます。
2 裁判所に対し再生債権の届出を行う
1で調査した債権者と債務額を元に、個人再生を申立てる債務者は、再生手続開始決定前に債権者一覧表というものを提出します。
債権者一覧表に記載されている再生債権については、債権届出期間内に再生債権者が異なる内容の届出をしない限り、債権届出期間の初日に、債権者一覧表の記載内容と同一の内容で再生債権の届出をしたものとみなされます(民事再生法225条)。
債権者一覧表に記載されていない再生債権については、再生債権者が債権届出期間内に届出をしないと手続に参加できません。
3 必要に応じ異議の申述を行う
届出再生債権の額や担保不足見込額について、再生債務者及び届出再生債権者は、一般異議申述期間内に、書面で異議を申し立てることができます(同法226条1項本文)。
ただし、再生債務者が債権者一覧表に記載した債権について異議を述べられる(債権額を争う)のは、予め債権者一覧表に異議を述べることがある旨を記載していた場合のみです(同法226条1項但書)。
4 再生債権の評価を行う
再生債権に対して異議が述べられた場合、当該再生債権を有する再生債権者が、異議申述期間の末日から3週間以内に、再生債権の評価の申立てをすることができます(同法227条1項本文)。
この申立てがなされた場合には、裁判所により個人再生委員が選任されます(同法223条1項但書)。
個人再生委員は、再生債務者若しくはその代理人又は再生債権者に対し、再生債権の存否、額等に関する資料の提出を求めることができます(同法227条6項)。
その後、裁判所は個人再生委員の意見を聴いたうえで、評価の申立てにかかる再生債権について、債権の存否、額,担保不足見込額を定める(227条7項,8項)という流れになります。
この裁判所の評価に不服がある再生債権者や再生債務者は、別途訴えを提起して、債権、債務額が裁判所の評価と異なる旨の主張立証をすることができます。
5 個人再生のご相談
弁護士法人心は、個人再生を含む債務整理事件を中心的に取り扱う弁護士が在籍し、豊富な実績を積み重ねております。
柏近郊にお住まいの方で、個人再生についてお悩みをお持ちの方は、お気軽に弁護士法人心へご相談ください。
柏周辺における個人再生手続について
1 個人再生手続の特徴とメリット
⑴ 自己破産との違い
自己破産(免責)手続は、基本的にすべての負債の支払義務を免れると同時に、保有している財産を以て債権者へ支払いを行うという手続(財産も失う)です。
これに対し、個人再生手続は、財産は保護しつつ、負債を一定額まで減額したうえで、長期の分割で支払っていく手続となります。
⑵ 個人再生を行うメリット
自己破産をする場合、不動産や(比較的新しい)自動車、有価証券などの高価な財産は基本的に手放さざるを得ませんが、個人再生であれば財産を残すことができます。
後述しますが、最も重要な点は、住宅ローンが残っている住宅について、住宅ローンを再生の対象外とすることで、抵当権を実行されることを開扉し、自宅を手放さずに手元に残せる可能性があることです。
その他、自己破産をしてしまうと法律の規定により就くことができなくなる職種がある一方で、個人再生の場合は法律による職種の制限はありません。
2 柏近郊にお住まいの方が個人再生を行う場合の流れ
⑴ 資料の収集
個人再生を行う場合、その債務者の方の財産状況、収入と支出の状態を明らかにして書類に纏め、裁判所に対して説明していく必要があります。
そのための基礎となる資料として、預金通帳(預貯金の入出金の履歴)や保険、車検証、退職金、有価証券等の財産に関する資料を集めることや、家計簿を作成することが必要になります。
⑵ 裁判所への資料提出
資料の収集と書類の作成が完了した段階で、これらを裁判所へ提出します。
柏市にお住まいの方であれば、通常は千葉地裁松戸支部が管轄の裁判所となりますので、ここに書類等を提出します。
⑶ 再生計画案の作成と提出
裁判所に資料を提出し、債権者による債権届が提出された後、今度は債務者側の再生計画案を提出します。
再生計画案とは、個人再生手続が終了した後、具体的にどのようなスケジュールで、いくらの支払を行っていくかを定めた計画書です。
これが債権者及び裁判所に認められて確定すれば、再生計画に基づく支払いがスタートします。
裁判所に資料を提出してから、再生計画の認可決定確定までの期間は、財政状況や財産の複雑さにもよりますが、おおむね約6か月が目安となります。
3 個人再生手続きにおいて弁護士を代理人とするメリット
⑴ 弁護士が代理人でない場合
弁護士が代理人でない場合は、個人再生の申立て後に、裁判所が個人再生委員を選任し、手続に関与します。
個人再生委員がついた場合、指摘事項や求釈明に応える必要も生じます。
個人再生委員がついた場合、個人再生委員の報酬等に充てる目的で、裁判所に対して約20万円の予納金という金銭を支払う必要があります。
個人再生の手続は複雑で、必要書類も多岐にわたるため、ご自身で手続を行うこと自体相当な負担になるうえ、個人再生委員選任に基づく予納金の負担が生じるということになります。
⑵ 弁護士がついた場合
弁護士が代理人についた場合、個人再生委員は原則として選任されません(裁判所により運用が異なる場合もあります)。
また、書類の作成や資料の収集を含め、基本的に弁護士が手続きを主導して進めていくことができるため、債務者ご本人様の負担は、弁護士がついていない場合に比べて格段に軽くなります(もちろん、債務者の方でないとわからない情報や、債務者の方でないと取得ができない資料についてはご提供をいただきます)。
個人再生する際の退職金の扱い
1 清算価値保障原則について
個人再生手続においては、破産したとすれば配当される金額(大まかに申しますと、保有している財産額)よりも多くの金額を、債権者に支払わなければならないというルールがあります。
これを清算価値保障原則といいます。
したがって、個人再生申立の段階で正確に把握した財産の評価額よりも多くの金額を債権者に支払う必要があります。
2 退職金の扱い
⑴ 退職金も財産になる
個人再生手続において債務者の方の頭を悩ませるものの一つが、退職金です。
退職金は、給与の後払いという性質があるため、会社に対する金銭請求権という財産であると考えられています。
そのため、職務規定等に記された計算式を元に、個人再生申立時点における退職金の見込み額を計算して提示する必要があります(退職金がない場合には、その旨を説明する必要があります)。
⑵ 既に退職金を受領している場合
既に退職していて、退職金を受領している場合には、受領した退職金全額を財産として計上します。
退職金を一部使ってしまっていたとしても、それが正当な支払い等であると認められる場合には、控除されることはあり得ます。
⑶ 近い将来退職する予定がない場合
裁判所では、多くの場合、自己都合退職した場合の退職金額の8分の1を債務者の財産として評価します。
これは、破産手続においては、法律上、自己都合退職した場合の退職金額の4分の1が配当に回すべき財産とされるところ、破産手続開始決定時において退職していない場合には、退職金は発生するか否かが不確実なため、その半分の額を配当に回せばよいという考えに基づいているためです。
したがって、このような運用をする裁判所では、退職金額の8分の1の額を財産として計上することになります。
⑷ 近い将来退職する予定がある場合
近い将来に退職する予定がある場合(すでに退職することがほぼ決まっていて、まだ退職金が支払われていない等)には、退職金が発生することが確実といえるため、退職金額の4分の1の額を財産として計上します。
3 退職金額を証明する書類
個人再生を申し立てるにあたっては、退職金見込額の根拠となる書類を裁判所に提出する必要があります。
勤務先から退職金見込額証明書を発行してもらう方法や、就業規則のうち退職金規程の部分のコピーと併せて、退職金額の計算結果を提出する方法があります。
退職金見込額証明書の発行や就業規則のコピーを取る際、勤務先に理由を話さなければならないことが多いです。
個人再生の申立てを予定していることを勤務先に知られたくないとお考えの方は多くいらっしゃいますが、こればかりは避けて通る方法がないのが現状です。
4 柏周辺にお住まいで個人再生のご相談をお考えの方へ
個人再生は、裁判所により運用が異なることがあります。
そのため、申立先となる裁判所の運用に対応できることが大切ですので、個人再生を弁護士に依頼する際には、その地域の個人再生の経験が豊かな弁護士を選ぶべきといえます。
弁護士法人心には、個人再生の経験が豊富な弁護士が複数在籍しております。
柏周辺にお住まいで、個人再生のご相談をお考えの方は、お気軽に、そしてお早めに弁護士法人心にご連絡ください。
個人再生手続が認可されない場合
1 個人再生計画は許可されない場合もある
個人再生手続においては、再生手続開始後、裁判所から再生計画の認可決定を得れば、債務を減額したうえで、原則3年での分割返済をすることになります。
しかし、再生手続開始決定がなされたとしても、必ずしも再生計画が認可されるとは限りません。
民事再生法では個人再生手続における再生計画の不認可事由を定めており、不認可事由に該当する場合には再生計画不認可の決定がなされます。
個人再生手続には、小規模個人再生と給与所得者等再生という2つの手続があります。
そして、次のとおり,2つの手続に共通する不認可事由と、各手続に特有の不認可事由が存在します。
2 2つの個人再生手続に共通する不認可事由
⑴ 再生手続又は再生計画が法律の規定に違反し、かつ、その不備を補正することができないものであるとき(民事再生法231条1項,241条2項1号,174条2項1号)
この場合には再生計画不認可決定がなされます。
例外として、再生手続が法律の規程に違反する場合においても、当該違反の程度が軽微であるときには、不認可事由とされないことがあります。
⑵ 再生計画が遂行される見込みがないとき(民事再生法231条1項,241条2項1号,174条2項2号)
具体的な典型例としては、債務者の毎月の収入と(生活上必要な)支出の状態から見て、再生手続後の債務を返済できる見込みがない再生計画である場合には、不認可の決定がされます。
⑶ 再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反するとき(民事再生法231条1項,174条2項4号,241条2項2号)
再生債権者の一般の利益とは、破産手続がなされたならば得られたであろう利益のことをいいます。
破産手続では原則として債務者の全ての財産が換価されて配当に充てられますので、ここでいう再生債権者の一般の利益とは、基本的には債務者の財産の合計額(評価額)となります。
そして、債務者の財産の合計額よりも低い額しか返済しないような再生計画については、不認可決定がなされます。
⑷ 債権の総額が5000万を超えるとき(民事再生法231条2項2号,241条2項5号)
再生債権の総額が5000万円を超えるときは、不認可事由となります。
ただし、ここでの再生債権の総額について、住宅資金貸付債権の額、別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権の額等が除かれています。
⑸ 計画弁済総額が一定の額を下回っているとき(民事再生法231条2項3号、同項4号,241条2項5号)
⑹ 再生債務者が債権者一覧表に住宅資金特別条項を定めた再生計画案を提出する意思がある旨の記載をした場合において、再生計画に住宅資金特別条項の定めがないとき(民事再生法231条2項5号)
⑺ 再生計画が住宅資金特別条項を定めた場合で、債務者が住宅の所有権又は住宅の用に供されている土地を住宅の所有のために使用する権利を失うこととなると見込まれるとき(民事再生法231条1項,241条2項3号,202条1項3号)
住宅資金特別条項は、債務者の生活の基礎となる自宅を失うことを回避するため、住宅ローン債務を再生手続きから除外する制度です(住宅ローンは再生計画認可後も従前通り支払い続ける)。
そのため、何らかの理由で自宅を失うことが見込まれる場合は、上記の趣旨に反しますので、再生計画が認められないということになります。
3 小規模個人再生特有の不認可事由
⑴ 再生計画の決議が不正の方法によって成立するに至ったとき(民事再生法231条1項,174条2項3号)
⑵ 再生債務者が将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがないとき(民事再生法231条2項1号)
4 給与所得者等再生特有の不認可事由
⑴ 給与所得者等再生における再生計画が遂行された場合に、再生計画の認可決定確定の日から7年以内に給与所得者等再生を求める申述がなされたこと(民事再生法241条2項6号,239条5項2号イ)
⑵ 個人再生において再生計画を遂行することが極めて困難となった場合の免責決定が確定した場合に、当該免責決定に係る再生計画の認可決定確定の日から7年以内に給与所得者等再生を求める申述がなされたこと(民事再生法241条2項6号,239条5項2号ロ)
⑶ 自己破産手続における場合に、再生計画の認可決定確定の日から7年以内に給与所得者等再生を求める申述がなされたこと(民事再生法241条2項6号,239条5項2号ハ)
5 柏にお住まいで個人再生をお考えの方へ
個人再生手続は、要件が非常に複雑であるため、再生計画が認められるか否かの見通しを立てることが非常に重要となります。
弁護士法人心は、個人再生を含む債務整理事件を中心的に取り扱う弁護士が在籍しており、日々研鑽を積んでおります。
柏周辺にお住まいで個人再生をお考えの方は、弁護士法人心にお気軽にご相談ください。
個人再生における住宅ローン特則とは
1 住宅ローン特則(住宅資金特別条項)について
個人再生手続の大きな利点の一つは、ご自宅を所有していて住宅ローンが残っている場合に、自己破産とは異なり、ご自宅を残すことができるという点です。
このサイトをご覧の方の中には、このようなお話を聞いたことのある方もいらっしゃるかと思います。
これは、再生計画の中で住宅ローン特則(住宅資金特別条項)を定めることを言います。
制度の概要を説明しますと、住宅ローン以外に負債がある場合に、住宅ローンだけはそのまま返済を継続しながら(減額等をせず)、住宅ローン以外の負債を減額して再生計画に従った分割返済を認めるという裁判所の手続き、ということになります。
住宅ローン特則(住宅資金特別条項)を定めるための適用要件は複雑な点もございますので、必ず専門家にご相談されることをお勧めいたします。
以下、住宅ローン特則について注意すべき点を説明します。
2 住宅ローンは減額されない
住宅ローン特則を利用した場合、負債が減額されるのは住宅ローン以外の一般債権のみです。
住宅ローン(その利息・損害金も含みます)については、住宅ローン債権者の同意がない限り、利息・損害金の一部ないし全部の免除や元本の一部免除を受けることはできません。
なお、住宅ローン特則の類型には、①期限の利益回復型、②リスケジュール型、③元本猶予期間併用型、④合意型、および⑤正常返済型があります。
①~③は、住宅ローン債権者の同意がなくても定めることができます(⑤は当初の住宅ローン契約の内容に従って返済するという内容ですので、当然住宅ローン債権者の同意は不要です)。
逆の観点から考えますと、住宅ローン特則では住宅ローンそのものは減額されないため、住宅ローン以外の債権を減額したとしても返済が困難である場合は、住宅ローン特則を定めた再生計画案は認可されないこととなります。
3 「清算価値保障原則」との関係
やや専門的な話になりますが、個人再生手続では、破産手続より債権者を不利にしないという観点から、清算価値保障原則が適用されます。
これは、保有している財産(の評価額)以上は弁済をしなければならないという原則です。
そして、ご自宅と住宅ローンがある場合、計算が複雑になります。
例えば、住宅ローンの残額が2000万円、それ以外の一般債権が500万円あるケースについてみてみます。
この場合の保有財産の評価額は、住宅の査定額が2600万円の場合、(査定額-住宅ローン残額)=600万円(>500万円)となります。
そのため、一般債権については3年から5年の期間で500万円全額を返済しなければなりません。
また、住宅ローンの返済とあわせて3年から5年の期間で500万円を分割して返済することが困難な場合は、住宅ローン特則を使うことはできないことになります。
住宅購入の際に多額の頭金を支払った場合や、住宅を購入してから長年月を経過している場合、住宅ローン残額よりも住宅の査定額の方が大きくなり、その結果返済しなければならない負債額も大きくなることが考えられますので、専門家に相談する前に不動産業者に査定をしてもらうことをお勧めします。
4 個人再生のご相談はお早めに
住宅ローン特則を定める場合、上記2の⑤型であれば、当初の契約どおりに返済するだけですのでとくに問題はありませんが、②~④型では住宅ローン特則の策定にあたり住宅ローン債権者の協力を得ることが重要となります。
また、住宅ローンを延滞して保証会社による代位弁済が行われたり、競売まで進んだりした場合は、手続的も複雑になります。
住宅ローンを延滞したまま住宅ローン債権者や専門家に相談せずいたずらに時間を経過させてしまうと、その後住宅ローン債権者に個人再生の相談をしても非協力的な対応をされてしまうことがありますので、住宅ローンを延滞する前に弁護士にご相談いただくのがベストです。
弁護士法人心は、個人再生の経験が豊富な弁護士が在籍しておりますので、お早めに、そしてお気軽にご相談ください。